能面執事２【紫】 (ページ25)

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75. 好きなやつと結婚…？ページ25

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ドレスの裾を持ってもらって、たどり着いた

チャペルの大きな木製のドアの前、

お父さんは私を見ると、涙を零した。

「ちょっと！…やだ泣かないでよ。」

「いや、…、綺麗だ。

さすが私の娘。」

敬語なんてどっかいって、泣いてるお父さんの涙を
持ってたハンカチーフで拭う。

「お前が、本当に好きなやつと結婚出来てよかったよ。」

突然そんなことを言う。

私はまだ会ったこともないのに、何を言ってるんだろう。

不思議に思ったか思わないかで、チャペルのドアは開き、

お父さんは私に左腕を差し出した。

「幸せにしてもらいなさい。」

お父さんはそう微笑んだ。

腕を組んで、止まって一礼。

牧師の前にいる人が、結婚する相手。

未来、いや今の旦那様。

まだ顔は前を向いてて見えなくて、少しもどかしい。

結婚行進曲を弾くオルガンの音が聞こえて、

バージンロードの脇の椅子から立つ人達を見回す。

「「ご結婚おめでとうございます！」｣

よく通る声で言ったのは重岡と望の2人。

…なんでよ、さっきまで眉下げて2人とも慰めてくれてたのに。

今は笑顔で「ヨッ！日本一！」とか言って盛り上がってる。

あーぁ、なんか見損なった。

そんな目で睨んでも、2人はまだニヤニヤしてる。

お兄ちゃんは、泣いて顔がぐちゃぐちゃの照史を介抱してるし、

流星も、泣いてる百合帆さんの頭を優しく撫でてる。

あ、オルガン弾いてるの神山だったんだ。

神山まで、口パクでおめでとう…

みんなして私はこの結婚が不本意なのに、

どうしてそんなに盛大に祝福してくれるの？