能面執事２【紫】 (ページ14)

今日:6 hit、昨日:19 hit、合計:487,061 hit

64. お似合いと想いページ14

.

気付けばもう夜はすっかり更けていて、

酔った父親2人はそのまま各々の執事を連れて二軒目へ。

流星と百合帆さんは、

レストランが家からすぐだったこともあって徒歩で帰るらしい。

「ふぅ…」

こうして並んで歩く2人を見るとやっぱりお似合いだなって思う。

いつか私も濱田と並んで歩いた時、

お似合いだなって思われたいなぁ

…なんて、無理か。

「帰ろっか。」

「はい。あ、もう22時過ぎましたので

私の運転で帰りましょう。」

重岡は就業時間外のため濱田の運転で帰ることに。

デートのとき以来かな。

「……流星様と百合帆さん、お似合いですね」

ふと呟いた濱田。

その言葉がどんな想いを持つのかなんて知らない。

「そうだね。あんな風に思われるなんて羨ましいな。」

「……そうですか

きっと、2ヶ月後にはA様も

そのように思われるような素敵な方と結婚出来ますよ。」

濱田は何の気なしに言ったかもしれないその言葉は、

私の心に深く深く突き刺さる。

まるで私とあなたでは結ばれることも、

恋に落ちることさえも叶わないように言われてるみたいで、

頬に冷たい涙がつたった。

見えないように、バレないようにそっと拭って

「そうね、お父さんの古くからの知り合いの

息子さんみたいだし、きっといい人よね！」

明るく言ったけど濱田は何も言わなかった。