60. ため息と俯き ページ10
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あっという間に講義も終わって、
いよいよ会食の時間になった。
私と流星は講義中も、それから今向かってる車の中も、
流星は珍しく経営学の本を読んでいたこともあるのか、
ずっと話さなかった。
それはお互いに、この話をどうにか無ししたい、
そう思っているが故に、でもある。
でも手立てがない。
「…はぁ」
思わずため息がこぼれて慌てて吸った。
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「A、流星くん。」
約一ヶ月振りに聞いた父親の声。
目の前には流星のお父さんと見られる人。
「初めまして、Aと申します。」
「流星の父です。
いつも仲良うしてくれてありがとうな。」
「いえ。」
なんだかいい人そう。
…この人が義父さんになるのかもしれないのかな。
って思ったけど、すぐにその考えを消した。
悲しそうに俯く百合帆さんが見えたから。
それを見つめる流星。
私はこの2人のために。
…そして、濱田に思いを告げるために、
結婚を無しにしなくちゃならない。
「あ、あの！「いやぁ、会えて嬉しいよ。」
私が話を切り出そうとしたら、
お父さん同士の思い出話が始まった。
ガタン
と、思ったら、突然立ち上がる流星。
「あの！…ほんまごめんなさい！
Aとの結婚の話、無しにしてもらえませんか？」
私のお父さんに向けて、深々と頭を下げて言った。
「……流星」
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作者名：ちい
| 作成日時：2017年10月9日 0時
