能面執事２【紫】 (ページ16)

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66. 幸せと残酷ページ16

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18時になりましたら出発致します。

そう言い、濱田は部屋を出ていった。

きっと明日結婚式を行った後は、

あちらの方のお家に住むことになるだろうから、

今日で濱田と話したりするのは最後。

そんな日に出かけられるのは、嬉しい。けど、

好きな人といるのに、

別の人との結婚式で着るドレスを選ぶことの残酷さを感じた。

「A様、今日は最後なんやし、楽しんできぃや？

そんで…明日からまた進めるように泣いたらええよ。」

望の声が優しく心に響いた。

「ありがと、」

「ちゃんと前に進めたら、その言葉もっかい聞かしてな？」

アイライナーをちゃんとひいてから

望は頭を撫でくれた。

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「おはようございます。」

いつもよりトーンが少し低めで、落ち着いたような雰囲気の重岡。

「おはよ、重岡」

目を合わせると重岡は、目の淵を緩めて口をきゅっと結んだ。

車に乗り込むと、いつものように濱田がシートベルトを閉めてくれる。

「濱田、…」

「はい…？」

無意識の内に名前を呼んでいたみたいで、

返事を返されて焦る。

「あ、ううん、…なんでもない。」

納得していないような顔をして、車のドアは閉められた。