Night out

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これは、修羅場なのか。



「あ、流星」



オーバーサイズのブルゾンを羽織り、
パーカーとダメージジーンズという
彼らしくない、遊び心満載の格好で現れた元カレ。




「望も、なんでこんな早いん。
待ち合わせまであと10分もあるやん。」




黒のロングコートの下に
白ニットと黒スキニーという
大人の色気満載の格好で現れた元カレの幼馴染み兼
元フレンド。




彼女の問いに、答える声はなかった。








「瑠花、Aと何してたん」


「流星、顔怖いって〜。
楽しくお喋りしてただけやん、な？」


『あ、えっと、そうそう。』





適当に同調しつつ、彼から目が離せない。



たったさっき、名前を知った彼。









小瀧望から、目が離せなかった。





そんな私に気づいたのか、気を使った彼が言う。



「これ、小瀧望。俺の親友。
あれ、A会ったことなかったっけ？」


『あー…うん、知ってるような、知らないような…』




どうしよう。嘘ついた。
知らないどころか、知りすぎている。

狭くなる彼との距離と反比例するように
ドキドキ高鳴って煩い胸。


なんて言われるか。
"お前の元カレって、流星やってんな"
そう言われれば、終わる。

彼と関係を持っていたことが、先輩にバレてしまう。









「久しぶりやな、Aちゃん」









確かに、久しぶりだったけど
私が先輩に恋をしていた、あの頃以来ってわけじゃない。

「Aが忘れてるだけやん〜」と勘違いする先輩を
ほっとした顔で見た彼。


私のために、空気をよんだ彼。



「なんか、綺麗なってない？」


『いや、そんな…』


「口説くな望。」




「ははっ、冗談」と笑った彼に「冗談って言うのもなかなかに酷いですね」と返す。





「なぁ望、」


「んー？」


「今日はやっぱり、二人で遊ぶ？
なんか流星、Aちゃんと一緒にいたいみたいやで。」




「えっ」と声を漏らしたのは私だけで、
先輩はそれを否定しなかった。


まだふたりは別れていないはずなのに。
これはもう、双方の意見の一致ということなのだろうか。





「Aちゃんはこの後予定あるん？」





ついこの前まで、


言ってしまえば、出会った日から
ずっと呼び捨てだったくせに。



急にAちゃんなんて、よそよそしくて。







ちょっと寂しいじゃん、望くん。






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