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「おい、起きろ。」
揺すり起こされ、まだ開ききらない瞼の隙間から見えたのは、「いつまで寝てんねん」と呆れ顔で呟くイケメン。
午前10時。もう、朝とは言えない時間。
『寝すぎた。』
「ほんまやで。」
『あ、大学。遅刻。』
「知らんわ、そんなん。」
身支度をしながら考える。
こんなに遅くまで寝てしまうなんて、
私にしては珍しい。
いつもなら最低でも8時には起きるのに。
疲れたのか。きっとそうだ。
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外を歩けるくらいには化粧しておこうと思って
来た時とは比べ物にならないくらいのナチュラルメイク。
ちょうど、リップを塗った時
鏡に映った彼は、もう着替え終わっていた。
「これ、お前のやろ?」
差し出されたものを受け取る。
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はっとした。
私は何をしてるんだろう、と。
『違う。』
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「は?何言うてんねん」
口をついた"違う"は、彼の顔を曇らせた。
当然。
確かにそれは昨日、私の右手についていた物で。
寝ている間に外れたんだろう。
それでも、否定をした。
何を言ったのかは忘れてしまったけれど、
とにかく頑なに、自分の物ではないと主張した。
『前のお客さんのでしょ、どうせ。
でも、売ったら結構な額にはなりそうだね。』
「ふーん。ほんなら売ろ。」
ほっとしたと同時に、寂しくて。
初めてだったから。
バイト頑張って、お金貯めて、
あの人にあげた、初めての物だったから。
でも、手放せてよかった。
ただの他人に、拾ってもらえてよかった。
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赤ずきん(プロフ) - mさん» 返信遅くなってしまい、本当に申し訳ないです。長文の感想、ありがとうございます。他の作品も読んでくださっているんですね!藤嫁のあの文は、少しでも頑張っているジャス民さんのお力になれればと、必死に考えたものだったので、そう言っていただけて嬉しいです (2019年1月26日 15時) (レス) id: 651c6f2efb (このIDを非表示/違反報告)
m - 感想長くなってしまい、ごめんなさい。これからも、赤ずきんさんのペースで大丈夫ですので!お話楽しみにしております。お体にお気をつけて頑張って下さい。 (2019年1月4日 23時) (レス) id: 1a2ae0eb63 (このIDを非表示/違反報告)
m - 初めまして!小説読ませて頂きました!赤ずきんさんの書く小説がドンピシャで大好きすぎてファンになりました!藤嫁こた専も読ませて頂きましたが最高でした!何よりも、藤嫁の最初のページの絶える事のない悩みを抱えつつ〜のコメントがとても胸に響き、泣けました。 (2019年1月4日 23時) (レス) id: 1a2ae0eb63 (このIDを非表示/違反報告)
赤ずきん(プロフ) - 紫春さん» 1コメ嬉しい〜!ありがとう!!いやいや、天才ではない笑 でも、今までのよりはちょぴっと大人っぽいよね笑 頑張る!無理してないって!笑 応援ありがと! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 651c6f2efb (このIDを非表示/違反報告)
紫春(プロフ) - 読んだ!!え、何天才なの?めっちゃドキドキした!!続きが気になって仕方ないんだけど!更新楽しみにしてる!でも、無理しないこと (2018年12月16日 20時) (レス) id: 8db4ba7a0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤ずきん | 作成日時:2018年12月16日 19時