小瀧くんの専属××

Secret45 ページ45

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本日貸し切り、と書いてあるウェルカムボードを
横目で見ながら、アンティーク調のドアを開ける。




「お待ちしておりました。ご案内致します。」





この前も給仕してくださったホールスタッフの方に
ついて行く途中、ふと聞いてみた。




『あの…誰かもう来てますか？』




今日は遅れないように、と

集合時間の25分も前に来てしまったから。





「1名だけ、いらっしゃいます。」



あ、1番じゃなかった。ちょっと残念。





二人きりとか、絶対沈黙になるでしょ。


重岡くんが、いいな…






いや、彼だって

プライベートはあまり喋らないしなぁ…




「こちらになります。」




広い個室の前まで案内していただいた。





重いドアを開ける。







『こんばん…』









慌てて、自分の口を塞いだ。









こっくりこっくり、頭を揺らして寝ている
赤ちゃんがいたから。









身長184cmの。









そーっと彼から5ｍくらい離れた所に座る。





横顔、本当に綺麗。






寝顔も初めて見たかも。

なんてったって私たち、一緒に寝たことないから。








こういう時だけ、





触れたい、とか思っちゃって。









少し近づいて、




ちょぴっとだけ、彼の前髪に触れてみた。




フワフワしてて気持ちいいけど
起きてしまうかもしれないし、

何より、こんなところ誰かに見られたら
柚が嫉妬する。







だから、手を離そうとしたのに。





少し、遅かったみたい。









その手の上に、









大きくて男の人らしい手が重なった。






彼の前髪が潰れて、目が見えなくなる。






彼に触れていた自分にも、私に手を重ねた彼にも

驚きすぎて言葉が出ない。





それに、何を話せばいいのかもわからないし。




まだ、重岡くんの方が良かったのかもしれない。









なのに、彼は落ち着いた様子で



望「一瞬、期待してもうた笑」




少し笑いながらそう言う。









望「黒髪が好きなんて言うなや」






この前咄嗟に重岡くんに言ったことを思い出す。



そういえば、望も黒髪。



迷惑、だったかもしれない。

元カノからタイプだと言われても、余計なお世話って感じよね。

別れたくせに未練なんて残すな、ってこと。





私はもう、彼に好きと言うことでさえ許されない。

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