漂流 (黄) (ページ22)

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翌日。
サチからメールが来ていた。

『この前の借り、返してもらうから。焼肉奢れ』

怖っ。
…いきなり後輩押し付けちゃったから、まぁ怒るわな。

『仰せのままに。いつにしますか、サチ様…』

と送ったら、

『いやごめん(笑) 怖がらせるつもり無かったの(笑)
じゃあ今週の金曜でいい？』

と返ってきた。
良かった怒ってなかったー…
根掘り葉掘り聞かれるのかな。まぁ、相手のことはぼやかしながら喋ればいい話だ、何も問題は無い、はず。

『いいよー、ごめんね…』
と送った。

「…洗濯、しなきゃ」

洗濯機の中で服がぐるぐる回ってる。
昨日着た服、じゅんちゃんと再会した日に着た服、いつも着てる服。

服についた汚れと匂いが、洗い流されていく。

別れた後、じゅんちゃんの事を忘れたくて、男性と付き合ったりもした。
もしじゅんちゃんと会うことがあれば、友達として笑って接せられるように。
楽しかった日々のことを、笑って一緒に振り返って、「いい思い出」に出来るように。

まあ、無理だったんだけど。

手を繋ぐ時、ハグをする時、手料理を振る舞う時、キスをする時、

身体を重ねた時。

全て、じゅんちゃんに初めてを捧げて、じゅんちゃんと出会って、人を愛することを覚えたから。

じゅんちゃんと別れてから、

私の思いはあの時のまま、どこかを漂ってるんだ。

今の私は、洗濯機の中でぐるぐる回ってる洋服たちと同じなのかもしれない。

ぐるぐる回って、どこに行き着くのか、私にもわからない。