漂流 (黄) (ページ21)

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「そういえば、なんかあった？急に会いたいなんて」

と聞いてみた。

「ん？あぁ、大した理由は無いんよ、昨日はAも仕事帰りで疲れてたやろうから、今度はゆっくり話したいなって思って」
「そうだったんだ。まあ、結局終電まで飲んだけどね、笑」
「せやな、なんか付き合わせてしまって申し訳ないわ」

全然いいのに。なんか悪いこと言ってしまった。

「せや。照史がな、Aの連絡先教えて欲しいって言ってるんやけどええかな？」

桐山くんかぁ…
じゅんちゃんと所謂シンメってやつで、「同じ墓に入りたい！」とか言ってたっけ。

じゅんちゃんと喧嘩しちゃった時とかにお世話になったな。
断る理由なんてない。

「もちろんいいよ。桐山くんならわざわざ断りいれなくてもいいのに。笑」

と言うと、彼は「せやな」と言って笑った。

それから、本当に他愛もない話で盛り上がった。本当にくだらないことで談笑して、お酒を飲んで。

またこんな日が来るなんて思ってなかった。
凄く嬉しかった。

そして、また終電前にお開きにした。

「今度そこちゃんと送ってくで、嫌とは言わさへん」
と息巻いていたじゅんちゃんは、約束通り家の前まで送ってくれた。

「え、A！こんなところに住んでんのか！？」
「え、うん」
「ここ、オートロックも無いやんけ！襲われたりしたらどないすんねん！」

確かに、私の住んでるところはオートロック無し、築30年のまあまあ年季の入ったアパートだ。

「だって、安かったし、大家さんいい人だし…」
「だからって…」

じゅんちゃんは何だか不満そうだった。
過保護なところは昔からだ。
妹みたいに扱われてるのかな。