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本当に大した理由じゃ無くて。
怖くなったからだ。
もし、ここで私が「じゅんちゃん久しぶり〜!」とか言って、路上で親しげに話してる姿を見て、相手がアイドルの中間淳太だとバレたら。
その場で連絡先交換しようものなら、絶対に「淳太くん彼女いるのかな」って噂になる。
その時、不利益を被るのは、私もじゅんちゃんも。
相手が私だってバレたら。
ネットを甘く見てはいけない。その場で盗撮なんてされてみたら。その写真がインターネットで拡散されたら。
私の人生は終わってしまうかもしれない。
じゅんちゃんは言わずもがな。ファンからの信頼も、同業者からの信頼も無くしてしまう。「中間淳太は警戒心のない男」だと思われでもしたら。
そんなことが頭に過って、気付いたら携帯を奪ってダッシュで逃げていた。初恋の人から。今でも忘れられない人から。
それを(今でも好きだとかそんなことは絶対に言わないで)じゅんちゃんに話したら、
「あぁ…せやな、確かにその通りや。それは俺の考えが甘かったな」
と、少し反省していた。
「でもじゅんちゃんも!何も会社で待ち伏せしなくても良いじゃない」
「え?ほんなら、受け付けの人に落し物です言うて渡せば良かったん?それとも警察に渡せば良かったん?受け付けの人に渡したら、誰が拾ってくれたのかわからんから不安にならん?警察に渡すにしても、どの警察署なのか分からなくてパニックにならん?膨大な量の落し物があるやろうから、まともに取り合ってくれるかも怪しいんとちゃいまっか?」
と、なんと一息で言ってのけた。
ポカーン。
…でも、言い返せない。ぐぬぬ。
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作者名:とらい | 作成日時:2019年6月18日 22時