漂流 (黄) (ページ14)

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財布を人質？物質？にされて、彼と呑みに行くことになった。やっぱり今日はついてない。

…じゅんちゃんの運転姿をかっこいいと思ってしまうのは、きっと気のせい。

「なぁ、お店は俺が決めてええやろ？」
「えっ？」

財布を取られてるから、てっきり私が奢るのかと思ってた。

「女の子にお金出させるとかみっともないことする訳ないやん。笑」

そうだ、この人はこういう人だ。
…ずるい。かっこいいって、思ってしまうじゃない。

「…ありがと」
「ん、よし。着いたでー」

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案内されたのは、こじんまりとした創作料理のお店の個室。
どうやら店主と顔なじみらしく、私を先に個室に通して、店主と楽しげに話している。

「A、お待たせ！店長さんと盛り上がっちゃって」
「ううん、気にしないで」
「じゃあとりあえず、生でええか？」
「うん、いいよ」

食べ物とかは、初めて来た店だから、基本じゅんちゃんのおすすめを一通り頼んで、ビールが来たタイミングで

「じゃあ、俺から逃げた理由。言うまで帰さへんからな」

と、悪い顔をして言った。
…そうだ、じゅんちゃんはたまに、こうやって私を問い詰める。

「…別に大した理由じゃないんだけどな…言わなきゃだめ？」
「当たり前やろ。大した理由じゃ無いなら言えるやんな？」

確かに。
急に悪魔に見えてきた。ううう。