WESTちゃん短編集 その2

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(赤)









少しいい焼肉屋さんの個室に入ると、向かい合わせに座るから目が何度も合って緊張する。


そんな俺の気持ちも知らず、美味しいお肉を頼んで食べて、何気ない仕事の話やメンバーとの面白い話なんかもして。


もうだいぶ遅い時間。


『…なあ、ほんまに今日プレゼント持ってきてへんの？』


突然そんなことを言われてしまうと、上手く言い返せへん。


「…え、」


『あるんやろ？ちょーだい』


可愛らしく言われると為す術もなくて。


「…みんなみたいにセンスないから、喜んでもらえるかわからへんけど」


その言葉を添えて渡すと


『しげから貰えるならなんでも嬉しい』


と微笑む。心臓に悪い。


綺麗にラッピングしてもらったものを開けていく様子を緊張しながら見てると、中身を見た瞬間目を丸くしていた。


『え、台本カバー？』


「…、小瀧舞台決まってるから、それで使えるかなと思って」


前にプレゼントでもらったことがあるお店のもの。


俺もすごい気に入ってて、小瀧に似合いそうやと思って選んだ。


まだ若い小瀧には少し大人っぽすぎるかもしれへんけどヴィンテージ感のあるもの。


『うわ、嬉しい！！ありがとう！めっちゃ頑張れる！』


にこにことほんまに嬉しそうにしてる小瀧の姿を見て一安心。


「よかった〜喜んでもらえて」


『めっちゃセンスええやん！お洒落やし！』


そこまで褒められると、嬉しくなる。


「舞台、頑張ってな。誕生日おめでとう」


そう伝えると少し赤くなったように見える耳。


照れ屋やからな、小瀧は。


『あーほんま嬉しい』


大事そうに抱きしめる姿が可愛らしくて写真を撮った。


誰にも見せるつもりは無い、記念の写真。


『せっかくやし、2人で撮ろうや！』


そう言われ手馴れたように俺の携帯を構えて、ほっぺたが引っ付きそうなくらい近づいてのツーショット。


…やばい、恥ずかしい。









………そんなこともあったなあ、と懐かしみながら一緒に住んでる家でもうすぐ誕生日を迎える小瀧と隣に並んでお酒を飲んでいる。


もう、何年も前の話。


目を細めて笑いながら、お酒を飲む大人になった小瀧を眺め時の進む早さに驚く。


「これからもよろしく。誕生日おめでとう」


０時になった時計を確認して、隣に座る小瀧に伝えた。


強く抱きしめて、なかなか言葉に出来ない大好きも伝わるように。







end.



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小瀧さん誕生日おめでとうございます。

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