WESTちゃん短編集 その2

. ページ35

(黄)








『あ、そうや。今日会社で美味しそうな焼き菓子貰ったんよ』


綺麗な包み紙を差し出せば目をキラキラとさせる。


ともは甘いものに目がないからな。


「…僕も食べていいの？」


『俺は甘いのそんな得意じゃないから、こんなたくさん食べられへんわ』


「やった！コーヒー用意するね！」


『ありがとう』


鼻歌を歌いながら、コーヒーを淹れてくれている後ろ姿を見て思わず笑ってしまう。


…ともみたいな奥さんがいたらいいのにな。


まだ高校生の男の子にこんな風に思うなんて気持ち悪いかと思いながら、1人で苦笑い。


自分用に甘いカフェラテ、俺用にブラックコーヒーを用意してくれた。


「ふふ、いただきます」


丁寧に包み紙を開けて、焼き菓子を見た途端。


「わっ！全部美味しそう！ねえ淳太くん全部美味しそうやね？」


『ほんとやなあ。ともが好きなの好きなだけ食べてええよ』


ほっぺたをつつけば嬉しそうににっこりと笑う。


「淳太くんありがとう〜！」って向かいに座る俺の方まで来てむぎゅうと抱きついてくる。


あかん、ほんま可愛いなこの子は。


『そんな喜んでくれたら、ともには何でもあげたくなるわ』


「何もいらへんよ。ともここにいさせて貰えるだけでほんまに幸せやもん」


下から見上げてくるともの頭を撫でる。


ほんまになんていい子なんやろうか。


『俺もともがいてくれて幸せやで』


また頭を撫でる。


『ほらコーヒー冷めちゃうから、早く食べよ！』


「ふふ、はーい」


どれにしようかな〜と本気で考えて選び、一つ一つ食べる度に目を輝かせて美味しそうに食べるから、そんなに美味しいのかと一つ手に取る。


目の前にともがいるからか、いつもよりもうんと美味しく感じた。









.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す