WESTちゃん短編集 その2

. ページ30

(橙)







適当にサッとシャワーを浴びて、ベットに入る。


ひろーいベットやから触れ合うことはないけど、やっぱり照れくさい。


お互い背を向けて寝転ぶ。


『……あきと、』


ベットが軋んで淳太くんがこっちを向いたのがわかった。


なんか恥ずかしくて、背を向けたまま返事をする。


「どうしたん？」


『…最近、寝られへんねん』


「…え、」


『身体は疲れてるのに、全然寝られへんくて…』


思わず後ろを振り返る。


大きな瞳でこっちをじっと見つめてる。


「…嫌なことあったん？」


『……………、』


「言いたくないなら、無理に聞かへん。…でも淳太くんの気持ちが少しでも軽くなるならいくらでも話は聞くで？」







それからぽつりぽつりと話してくれた。


クイズ番組に出たもののあまり結果が残せない日が続いていて、苦しい。


このまま呼ばれなくなったらどうしよう。


全員主演舞台や主演ドラマなど大きな仕事を持ってきてるのに、自分だけ何も出来てないみたいに思う。


勉強しても上手く頭に入らんくなってきた。


……それから、それから、淳太くんがこんなに不安になるなんて今までなかった。


基本的には自己肯定感の高い人やから。


……なにか誰かに言われたんやろうか、そんな疑問が浮かぶ。










.

.→←「眠れない夜には」(橙×黄)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す