蝉の聲に溺れる【HQ】

わるもの。46 ページ46

「だーかーら！何であんたがここに居んのよ…！」

昼食の時間。いつもの場所に座ってたら翔陽がいることに気づいた。

「ご、ごめんなさい」


「まあまあ、仲良くカレーを食べましょうぞ」

そういって黒尾が私をなだめる。

ついでに、影山君も隣にいた。


影山君は別にいいけど…

白福ちゃんと雀田ちゃんが作ったおいしいカレーを頬張る。

やっぱりおいしい…


「梟谷はいいねぇ、こんな美味しいご飯作るマネがいて」

「フクロウ最強ーー！」

「行儀悪いですよ木兎さん」


すると、突然離れた席から歓声が聞こえた。

誰かをちゃかすような、でも悪気はないあれ。

そちらを向くと、声の主は烏野だった。


「ヒュー！」

「スガっさん！恥ずかしがっちゃだめっすよ！」

「男ならガツっと！」


スガが緑川梓にあーんって。

緑川梓もまんざらじゃない様子。

「おぉー、やるねえ」


この席は、月島以外はみんな興味深々だ。

途端にスガと目が合った気がして、思わずカレーを頬張った。

なんだよあれ。まるで自慢してるみたいだ。


…なんだよ、このモヤモヤは。

胸が苦しい。

この気持ちは、何年振りだろうか。


「…っ」

スプーンを強く握り締めていた。

やっと本当の友達ができたと思ったのに。

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