蝉の聲に溺れる【HQ】 (ページ45)

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わるもの。45 ページ45

青城は、どこかピリピリしている。

昨日のことがあったからだろうか…いや、それしかないか。

午前中の練習は烏野との練習試合だった。

と言っても、まだ準備体操真っ只中だが。

ベンチ側の準備をしていると、突然誰かに声をかけられた。

「あの…日向の姉ちゃんさん」

「…Aって言います、よろしくね？」

少し上目気味で笑いかける。が、どうやらこの子は

本当に単細胞みたいで。

「俺、影山飛雄っていいます」

「…知ってるよ！中学の県大会みたから、ね」

すると、何かに納得がいったのか、話を進める。

「あの、今日俺のことみてて下さい！」

普通の子じゃ、その言い方は「俺がかっこいい所みせてやる！」
「きゃあぁ！？○○君かっこいい～！！」

っていうシーンなんだろうけど。

「影山君は、私の事知ってるんだ？」

「俺も、全国の試合みてました！お願いします！」

…へぇ。

「どうしようかな～…？」

すると、影山君は目を輝かせて言う。

「勿論、ただとは言いませんよ…………ます。」

なかなかの代物じゃん。

その時、遠くから彼を呼ぶ声がした

「おーい影山！ナンパしてんじゃねーよ！抜け駆けは許さぬ！」

「な、ナンパ！？ちげーっす…じゃ、失礼シャス」

やっぱり、影山君みたいなバカは嫌いじゃない。