蝉の聲に溺れる【HQ】 (ページ44)

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わるもの。44 ページ44

隣のマネージャーの部屋は多分、他より賑やかだ。

マネージャーの部屋は二つあり、私の所は青城の三人と烏野三年の清水さん。

他は別の部屋だ。

そして、私以外のマネは隣の部屋で女子トークなんかしちゃってる。

まあ今日は時間があるしね。

私も誘われたのだけど、女子トークなんてつまんないし断った。

「バレー部で良い人いないの～？」

きっと隣の部屋の部員は聞いてるんだろうなぁ。

まあ緑川梓はスガと付き合ってんだもんな。

自慢話が聞こえてきそうだ。

…スガ、あんたはなんで私に近づいたのさ。

あの練習試合の日、急に友達になろうとか言いだして。

でも、今なら信じてないけど納得はいく。

給水所で緑川梓にくっつかれてめっちゃ嫌がってたけど。

気まずいなぁ…なんか。

こんな気持ち、早く晴らしたい。

…証拠を集めよう。

私は布団の中で仰向けになりながら考えた。

スガは、私を認めてくれたんだ。

独りだった私を見捨てなかった。

初めて心が動いた。

だからもし、裏切られたら。

私はもう一度、あの感情に浸る。

その途端、隣の部屋から笑い声が聞こえた。

そんなに笑ってるのも今のうちだ。

なんとなく…なんとなく、わかっていたんだ。

気づいてないふりをしてるだけ。

私がこれからどうなるか、なんてね。