蝉の聲に溺れる【HQ】 (ページ28)

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わるもの。28 ページ28

時間というものは、はやいもので。

「みんな着いたよ～！挨拶行くから早くバス降りてね～！」

部員に続き、マネージャーも降りる。

私が部の荷物を持とうとした時、及川に呼ばれる。

少し睨まれているが、全く気にしない。

「おい、お前マネの代表だろ？主将待たせんなよ」

主将ってそんなに偉いんですか？マネージャーはごみ以下ですか。

荷物を他のマネに頼み、急いで後を追う。

「ご、ごめんね」

こっちも振り向かずに、こいつは言う。

「お前…本当にやったの？」

まだ言うのか。

「やってないよ？」

にこやかに笑う。

疑心暗鬼になっているんだろう。

「お前、疑われてるのにやけに冷静だね」

「そ、そうかな…？」

だって、やってないし。

「まあ…合宿中くらいは、大人しくしとけよ。そうじゃなかったら、ただじゃすまないから」

その言葉、そのままそっくり返したいわ。

体育館に着き、まず最初に挨拶するのは音駒だった。

「こんにちは～青葉城西の主将及川で～す」

「マネージャー代表の日向です、よろしくお願いします」

音駒の主将、ずいぶんキャラが強いこと。

「音駒主将の黒尾で～す、いやあいいキャラしてるじゃないですかぁ」

「どうもどうも～」

そして、黒尾さんは私に視線を向けた。

「んで、日向さん？随分良いスタイルしてんじゃないの」

「178です」

「あらまぁ」

…と、主将たちの気が合ったのか数分喋って次のチームへ。

次は烏野かぁ、目合わせないようにしないと。

「どうも～青葉城西の及川で～す」

「マネージャー代表の日向です」

烏野とは一回練習試合をしているからね。

「５日間、お願いします」

相変わらず、烏野主将はしっかりしてる。