蝉の聲に溺れる【HQ】 (ページ11)

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わるもの。11 ページ11

A視点

ため息を吐きながら、私はやっと体育館をでた。

って言っても、私はあのマネ二人を残して、お先にあがったのだが。

…因みに、私は外では気を抜かないようにしている。

え、なんでって？察しろ。

校門を出ると、私は門の前に立つ一人の少年を見つけた。

「えっと…菅原君？だっけ、忘れ物ですか？」

私になんの恨みがあるのか知らないけど、とりあえず彼にとって私の印象は最悪なんだろう。

…くそ、今まで誰にも見抜かれなかったのに。

「…俺、覚えてない？あの時、客席で隣に座った人。」

あの時…あぁ、中学の県大会の時か。

覚えてるわけ、ないだろ。

「さあ？どうだろう」

「俺は、お前のことよく覚えてるよ。チームメイトを笑ってたあの顔、」

「まあ、中学の時なら、私有名だったから？」

もういい、こいつなんて忘れるわけないし。

それに…こいつは、あの時の現状を知らなかったからそんなことが言えるんだ。

気づけば、本性がでていた。

「まさか、弟がいたなんて」

「ほんと、あいつもバレー始めるとか、私への嫌がらせかっつーの」

爪をみながらそう呟くと、彼は不思議な顔をした。

「え？…嫌がらせって…」

…ふーん。

「あんた県大会で負けたから、全国の試合なんてみてないんだろうね。しかも女子の」

ってかなによ、今更説教しにきたていうの？笑わせるな。

「準決勝、一応みたら？毎年決勝にまでたどり着く
私の母校が、なんであの時
たかが準決勝で負けたのか。」

私がいないと、あのチームは何もできなかったんだもん。

顧問も、チームメイトだって。

「ね、菅原孝支」

私より少し低い肩を叩き、帰り道を進む。

すると、

「俺は、…それを言いに来たんじゃない」

もう一度、私の前に立つと、彼は言う。

「日向A」

…なんだよ、早く言えよ。

菅原孝支は、自分のスマホを取り出して、笑った。

「俺と、友達にならない？」

…バカなの？