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「それにしても、舜太。お前ってさ、すっげえいい先生になりそうだよな」
と、当然佐野先輩はそんなことを言いだした。
「え？せ、先生？」
「うん。学校の先生。柔太朗のフォームとか、俺のフォームまで覚えてるなんて、よっぽどちゃんと周りを見てるんだよ、お前って。
だから学校の先生になったら、生徒の事もちゃんと見てやれる優しくていい先生になれると思うぜ」
俺が、学校の先生…。
そんなこと、はじめて言われた。
もちろん、考えてもみないことだった。
多分、こうやって人に言われでもしない限り、俺の頭の中でそんな選択肢は一生出てこなかったと思う。
別に、学校の先生に憧れているわけでも、ましてやなりたいわけでもないのだが、なぜだかその時、俺は佐野先輩のその言葉が、強く心に響いた気がした。
「そう…でしょうか…？」
「まぁ、何でもまずは挑戦しないとな。良く言うじゃん？やらずに後悔するより、やって後悔したほうが良いって。まずは全力で挑戦してみて、その結果が駄目なら駄目で、それはそれでいいんじゃないかって俺は思うんだ…。それが自分の経験値とか財産になるんだし。全力で取り込んだことに、無駄なことなんか、きっと一つもない。俺はそう思ってる…」
だから佐野先輩は、板垣先輩の家に何度も足を運ぶのかな。
やらないより、やった方が何か変わるかもしれないから、それが例え後悔に変わっても、何かが残ると信じているからなのかな。
「あっ…雨…上がったな…」
そうつぶやく先輩と同じように空を見上げると、さっきまで降り注いでいた雨はやみ、俺達の影が、夕暮れの闇と同じ色になっていく。
「そろそろ、帰るか。悪いな、面倒見てもらっちゃって。今度なんか奢らせてくれよ」
そう言いながら、佐野先輩は首から俺のタオルをぶら下げて、「じゃあな」と、さっきよりは随分明るくなった顔色で帰っていった。
一人きりになった俺は、さっきの佐野先輩の言葉を思い出していた。
『優しい先生に、なれると思う』か…。
まさか、そんなはずはない。
夢も将来も見れない、上辺だけ取り繕った、周りに合わせることしかできない俺に、なれるわけがない。
結局俺は頭の中でそう結論付けて、帰路へと付くことにしたのだった。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
