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佐野先輩のこんな顔を見ていたら、適当に答えるのも失礼に思ったのかもしれないし、何とかしたいと思ったのかもしれない。
しかし、もしかしたらこれもまた人の顔色を窺って、それっぽいことを言っているだけかもしれない。
嘘か本当かも、今まで空気を読んでそれに合わせた言葉しか発してこなかった俺にはわからなくなっているのかもしれない。
それでも、今は本心だと、そう思いたかった。
「え…？」
少し驚いた表情を浮かべる佐野先輩に、俺は更に口を開いて、言葉を選ばず、思ったことを口に出した。
「だって、柔君のシュートを打つ時のフォーム、佐野先輩そっくりなんですもん。きっと、柔君は今でも佐野先輩の事を尊敬してると思いますよ。
ああいう捻くれた性格やから、口ではあんな風ですけど、本当は佐野先輩の事も、板垣先輩の事も、心配してると思います。
じゃないと、きっと今頃サッカーなんて続けてないと思います。
柔君がサッカーを続けてるのは、先輩たちの分も、背負っていくつもりなんやと、そう思うんです。
それが、柔君なりの優しさというか…。
まぁ、俺の勝手な想像なんですけどね…」
なんとなくで生きてきたけれど、きっと俺は柔君の事をそんな風に思いながらいつも見ていたんだと思う。
だからこれだけは、今言ったことだけは、なんとなくでも、作り話でも、適当でもないはずだ。
俺はきっと本心でそう言ったんだ。
そう願いたい。
そして、俺がそう言い終えた後、ふと佐野先輩の方に視線を送ると、先輩はさっきのように目を真っ赤にして、涙を流して肩を震わせていた。
「舜太…。お前って、優しいんだな…。ありがとう…」
優しい…。
クラスの皆がいつも俺に言ってくれる言葉だ。
上辺だけの優しさを施す俺に対して、いつも言われる上辺だけのお礼の言葉。
しかし、果たしてこんなことが、優しいのだろうか。
ただ事実を言っただけなのに、佐野先輩は、その言葉に優しさを感じたというのだろうか。
それとも、クラスメートと同じように、上辺だけのお礼なのだろうか。
「マジでありがとう。なんか、元気出たよ」
「あ、いえ…。そんな…」
さっきまで肩を震わせて泣いていた佐野先輩は、サッカーをがむしゃらに頑張っていた時のような、とても素敵な笑顔を俺に向けてくれていた。
その時、俺は素直に、佐野先輩のその「優しい」という言葉が嬉しいって思った。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
