＊＊＊ ＊＊＊ ページ43
周りの顔色を窺い、空気を読んで、周りに合わせる。
それがいい。
それでいい。
俺は、そう言う人間で、そう言う生き方しか知らない。
だから「すみません」と、俺は教壇の上でこちらを訝しげな表情で見てくる教師に頭を下げた。
そして、
「ちょっと、席外します！！」
これで、俺の安全は完全に崩れてしまっただろう。
明日には皆、白い目で見てくるだろう。
噂話が広まって、仲間外れにだってされるかもしれない。
誰も相手にしてくれなくなるかもしれない。
けれど、それがどうした。
今の俺には、きっとこの電話を出る方が大切なんだ。
だって、俺の心も体も、そう言っているんだから。
この電話に出ないと、きっと後悔するぞと、そう言ってるんだから。
あの時、雨の降るバス停で佐野先輩が言っていたのはきっとこういうことだ。
例え、今俺がこの教室を出て行ってその結果、後悔することになったって、この電話に出なかった方がきっともっと後悔することになるかもしれない。
だったら俺は、この電話に出て後悔する方が、きっと「満足」できる。
そして俺は、この時初めて、周りの空気を振り切って、自分の心の声に従ったんだ。
周りの目も、周りの空気も、他人の顔色も、そんなこと今は関係ない。
俺は、俺だ。
俺の決断は俺にしかできないんだ。
周りに合わせて、周りの意見を取り入れて、周りの事ばかり気にしてたんじゃ、後悔も満足もできっこない。
俺は、自分の意思で、自分の足で、前に進まなくちゃいけなかったんだ。
駆け出す足が軽く感じた。
俺を制止する教師や、騒ぎ立てるクラスメートを置き去りにして、俺は教室の扉を勢いよく開けて廊下へ飛び出していった。
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
