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「ありがとう舜太…これ、洗って返すな」
そう言って、かつてのサッカー部のエースであり、キャプテンだった佐野先輩は、俺が今日使うはずだった大きめのタオルを頭からかぶって髪の毛の雨水を拭き取っていた。
「いや、いいですよ。そんな気にしなくても」
どうせいつも部活の練習で泥まみれで汚れるのだから、こんな雨水を拭いたぐらいどうってことない。
そう思いながら、俺と佐野先輩は、この冷たい雨をしのげる屋根の付いた小さなバス停のベンチの上に腰かけていた。
「それより、具合は大丈夫ですか？」
「うん、大丈夫。けど変なとこ見られちゃったな…」
「いえ…。もしかして、板垣先輩のところに…？」
「うん…。まぁ…」
先輩のこの様子では、きっとまた門前払いを食らったんだろう。
口元は笑っているが、その悲壮感に満ちた雰囲気は、見るに堪えない。
正直、なんとなく周りの流れに乗って生きてきた俺には、佐野先輩が何でこんなに根気強く板垣先輩のところへ通うのか理解できない。
噂では毎日家まで行っては、門前払いを食らって帰るらしい。
周りは誰一人付いてこなくなって、たった一人になっても、なお。
それに、一体何の意味があるんだろうか。
きっと俺だったら、周りが行かなくなったら、俺も同じように行かなくなっただろう。
だって、「あいつまだ行ってるよ」とか「懲りないやつだな」とか周りから言われるのはごめんだ。
周りに合わせて、周りの雰囲気に乗って、皆と同じようなことをしていれば、そんなこと言われることはないし、もっと時間を有意義に使えるはずだ。
だから俺には、佐野先輩の行動が全く解らない。
別に、皮肉など言うつもりはなく、本当に解らないのだ。
しかし、それをあえて「何でこんなこと続けるんですか？」など、ぶしつけな質問をすることもしない。
今も、俺はただなんとなくこの雰囲気の流れに乗っているだけだった。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
