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激しく打ち付ける十一月の雨は、俺の体温をどんどん奪い取っていく。
傘など持っていなかったので、一瞬で全身びしょ濡れだ。
靴の中にも雨水は入り込んで、まるで泥の中を歩いている様だ。
しかし、そんなことどうでもいい。
今日もまた、贖罪の為にこの家にやってきた。
取り合ってくれるまで、迷惑だと思われていようが、辞めるわけにはいかない。
許してほしいわけじゃない。
せめて、また学校に、外の世界に戻ってきてほしい。
俺のせいで、ずっとこの家に引き込ませるなんてできない。
しかし、いつものように、いくらインターフォンを鳴らしても、彼が姿を見せてくれることはなかった。
「ごめんな、瑞生…」
そして俺は、そう言って玄関の向こうに頭を下げて、家路についた。
今日もまた、何もできなかった。
そもそも、あいつの将来を奪ってしまった俺なんかが、何かできるわけではないのだが。
それでも、あいつの心を、解放してやりたい。
こうやって、根気よく通っていれば、いつかきっとあいつも顔を出してくれる。
いつかきっと、いつかきっと…。
そう思っていたけど、もう十一月。
高三の俺に残された時間はもう僅かと言っていい。
焦りと、不安が押し寄せる。
このまま年を越して、三学期になって、卒業を迎えてしまったら。
あいつの高校生活の三分の一も奪ってしまうことになる。
だけど、もうこれ以上、俺にはどうすることもできなんだ。
そう思うと、あの日、あいつの足を蹴り砕いた感触が、ふっと自分の足に蘇り、恐怖が体を支配する。
そんな恐怖感と、自分の無力さと、焦燥感に押しつぶされそうになり、俺は道の端っこに胃の中の物を全てぶちまけていた。
息苦しくて、大粒の涙も溢れ出してきて、一緒に道路に零れ落ちる。
しかしながら、俺の涙も、吐き出した吐瀉物も今日はこの雨が全部流してくれる。
けれど、この雨は、俺の心の無力さや、焦燥感や、この恐怖までは、流してはくれない。
突き刺さる冷たさが、更に俺の心を締め付けるだけだった。
その時だった。
「佐野、先輩…？」と、声をかけられ、俺に降り注ぐ雨が消えた。
顔を上げると、涙と雨でかすむ視界の向こうで、誰かが俺に傘をさしてくれている様だった。
急いで涙を拭うと、そこには、心配そうにこちらを見つめている曽野舜太が立っていた。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
