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さっきまでの塩��君とは打って変わって、鼻息だけが荒くなって、力強く俺の体を押さえつける。
彼の唇と熱い吐息が、俺の首筋を撫でる。
そして、そのまま俺の無防備で汗の浮かぶ胸元に、彼は舌を這わせていく。
「ぁっ…！」
感じたことのない感覚に、俺の口から反射的に声が漏れてしまった。
「は？感じてんの？マジで変態だな…」
「ち、違う…」
「けど、気持ち良いんだろ？いいよ、別に喘いだって。俺にだけそんな声出してくれればさ、それでいいから」
息を乱して、彼はまた俺の体を抱き寄せて、髪をかき上げて、頬や口に乱暴に口づけを繰り返す。
塩��君から伝わる体温がどんどんと上昇してる。
熱い。
熱くてたまらない。
そして、塩��君の手が、俺の足の付け根を滑るように撫でていく。
全身に痺れるような感覚が広がって、このまま身を委ねてしまいそうになる。
「や、やめ…やめて…！」
けれど、やっぱりもうこれ以上は駄目だ。
あんなことをして、こんな格好になってしまっている俺だけど、やっぱり、こんなの嫌だと思った。
無理だと思った。
「も、もうやめろってば！！」
だから、力の限り塩��君の腕を振りほどいて突き飛ばし、俺は逃げるようにソファーから飛び降りた。
たったそれだけなのに、まるでマラソンで校庭を何十週も走った後のように息が上がり、汗が止まらない。
「ご、ごめん…塩��君…」
「何でだよ…。ここまでしてやったのに…逃げんなよ…。俺の何が嫌なんだよ…」
彼の声も、俺と同じぐらいに、掠れて震えていた。
目を真っ赤にして、大粒の涙を頬に伝わせながら。
けれど俺は、なぜ塩��君がこんなことをしたのか解らないまま、「ごめん…」としか言えなかった。
「もう…いいよ…。もう、帰れよ…」
もう、こっちを見ることもなく、彼はそう言って背を向けていた。
「け、けど…」
「写真は、まだ誰にも見せないし、今日の事も誰にも言わないよ！！だから…早く帰れよ…！」
怒鳴るようなその口調で、俺は何も言い返せず、そのまま脱ぎ捨てた服を拾い上げ、それらを適当に羽織ると、俺は足早に、逃げるように、その場から出ていった。
知らないうちに、店の外は塩��君の涙のように、大粒の雨が空から降り注いでいた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
