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「俺と付き合ってくれたら、この写真は誰にも見せないし、誰にも言わないよ」
「え…」
俺のまさかの言葉で、吉田は相当間抜けな顔になっていた。
こんなこと言うなんて、思ってもみなかっただろうな。
「どうする？」
「そ、そんなこと…急に言われても…」
「じゃあいいよ。この写真全校にばらまくし、佐野には直接俺が送っといてやるよ。今すぐ」
きっと今の俺は、相当意地の悪い笑みを浮かべていることだろう。
だけど、こいつよりも優位に立っているこの状況は俺にとってはとっても心地が良い。
こいつの全てを支配できているような、束縛できているような、そんな満足感が溢れてくる。
「やめて！！それだけは…お願いだから…」
「だから、それが嫌なら俺と付き合ってって」
「そ、そんな…」
「何だよ。俺が佐野の代わりになってやろうって言ってるんじゃん」
そうだよ。
叶いっこない佐野との恋愛なんて、どうでもいいじゃないか。
その代わりに、お前の欲望の捌け口になってやる。
そして、吉田の手に握られていた俺にとっては目障りな佐野の制服を奪い取ると、元のロッカーに押し込み、俺はもっと吉田に詰め寄った。
「佐野なんかどうでもいいじゃん。俺の方が―」
そこまで言いかけて、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
あーあ、神様タイムも一旦ここまでか。
俺は舌打ちを軽く打つと、吉田の制服のポケットにこいつの眼鏡を差し入れた。
これで本来の目的は達成したことにはなる。
それ以上の収穫もできたから、まぁ良しとしよう。
「放課後、校門の前で待っといてよ」
俺が言い終えるころには、他の生徒たちが更衣室になだれ込んでくるところだった。
「あれ？仁人？保健室行かなかったのか？大丈夫か？」
「あ…あ…。ご、ごめん…。大丈夫だから…」
むかつくぐらい心配そうな顔を浮かべた佐野が、吉田の方へ駆け寄って行ったけど、当の吉田はそれから逃げるように更衣室を出ていった。
俺はそれが良い気味に思えて、少し口元が緩んでしまっていた。
さあ、これからどうしてやろうかなー…
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
