ジュブナイリズム【M!LK】前編 (ページ30)

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一日の授業も終盤、この体育の授業を残してあともう少し。
だが、冬場に薄い体操着で一時間近く過ごすのは未だに慣れたもんじゃない。
体育館に並んで、体を慣らすラジオ体操が始まる。

「キビキビやれよ！」

体育教師は厚手のジャージを着こんで腕を組みながら叫ぶ。
そんな暖かい格好をして、何を言うか。

でもまぁ、高校3年生になって、体育の授業というのも随分と楽になったもので、週に一回しかないし、授業の内容は選択制であるため、気の合う友達同士である程度好きなことができる。
他のクラスメートはもっと体育をやりたいらしいけれど、俺はあんまり体を動かすのが好きじゃないからどっちでもいいんだけど…。
そんな体育だけど、3年生になって、厳密には2年生の冬にサッカー部で起こったあの事件以来、このクラスでサッカーをしないという暗黙のルールができた。
別に誰が言い出したわけでもないけど、体育の先生ですら、サッカーという言葉を口にも出すことはない。
それほどまでに、あの日の出来事は俺達のクラスどころか、全校で大きな話題になった。
その中心人物である、佐野君を筆頭に。
しかしながら、あの時の佐野君の狼狽ぶりは、今思い出しても胸が苦しくなる。
今でこそ随分と落ち着いたものだけど、それでもあの日以前の佐野君に比べたら、ほとんど別人になってしまった。
　