ジュブナイリズム【M!LK】前編 (ページ3)

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校門から見える時計は、8時29分を指しているのが見える。
登校時間ギリギリだ。
今走れば、教室までは30秒ほど。
何とか担任が来るまでには間に合うだろう。
しかし、俺の体は今から走る、なんて行動をしようとはせず、その重い足取りはチャイムが校庭に鳴り響いてもだらだらと自分の教室に向かうだけだった。

校舎に入って、丁度職員室を通り過ぎた時、
「おい、"佐野"。もうチャイム鳴ったぞ」

肩を落とす俺の背中に投げかけられたその言葉は、別段怒ってるわけではなく、少し優しい口調で、まるで俺を慰めようとしてくれてるようだった。

「す、すみません…」

「今日も…駄目だったか」

「……」

駄目だった。
その言葉で俺は振り返って少しだけ頷いて答えた。
どれぐらいこんなことを続けているだろう。
もう11月に入ったから、かれこれ一年弱、か。

振り返った先に立っていた俺のクラスの担任は、すっかり落ち込んだ俺の肩に手をかけて哀れんだ表情を浮かべていた。

「"板垣"の事は気の毒に思うけど、お前は悪くないよ。もうそろそろ、自分の為に残りの時間を使ってもいいだろ」

「そういうこと、言わないでください…。俺は、もう…自分の将来の事なんて…考えられません…」

「……。まぁ、お前の人生どう使おうが、俺が口を挟めたことじゃないけどさ…。教室行くか…。皆待ってるな…」

「はい…」

担任は俺の背中を軽く押して、優しく教室まで促した。

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