ジュブナイリズム【M!LK】前編 (ページ19)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:32,425 hit

　＊＊＊＊＊＊ページ19

高校二年の冬。
サッカーの全国大会予選を勝ちあがった俺達の部活は、決勝戦に備えて他校と練習試合することになったんだ。
自分で言うのもなんだけど、俺はサッカーが滅茶苦茶うまくて、大学の推薦もほとんど決まってたし、エースストライカーなんて呼ばれてかなりちやほやされてた。
それが心地よくって、だいぶ調子に乗ってたと思う。
大会に残れなかった他校のサッカー部なんて、俺は正直相手にする価値もないって思ってた。
俺はそんな奴だったんだ。
そして、試合が始まってからも俺のそんな態度は変わらず、練習試合の相手の学校を挑発しまくっていた。
"キャプテン"はそんな俺を試合中だっていうのに滅茶苦茶叱ってきたりして、俺はそれが嫌でどんどんプレイも荒くなっていってた。
単独プレイも多くなってたし、反則ギリギリの事もしてた。
相手にわざとぶつかったり、危険なボール出したり。

今思えば、なんでそんなことしてたのか、ほんと、馬鹿だったな…。

そして、試合は進み、俺が滅茶苦茶なプレイしてたせいもあるし、そんな俺の態度が相手校に火をつけたってのもあって、得点はまさかの同点だった。
残り時間も少なくなって、俺はかなり焦ってたし、ムカつきもピークに来てた。
試合時間も残り30秒ほどのところで、ボールはうちのキャプテンの足元に回ってきていて、相手チームもうちのチームももつれるように一か所に集まってた。
そんな中、俺はあろうことかキャプテンからあのボールを奪ってゴールを決めたいって思ったんだ。
試合に勝ちたいのはもちろんだけど、試合中だっていうのに、俺の事を怒鳴ってくるキャプテンに相当腹が立ってたってのもある。
それで、ゴール前で俺が相手チームの一人を突き飛ばして、キャプテンの足元のボールを奪おうとしたその時、

相手チームの一人が、仕返しとばかりに俺の体を思い切り突き飛ばして、俺の体はコートに叩きつけられた。

それだけなら良かったんだけど、最悪なのはこの後だった。
俺が倒れる瞬間は、ボールを持っていたキャプテンが、ゴールめがけてシュートを決める瞬間でもあった。

キャプテンの足は、ボールの間に入り込んだ倒れた俺の右足を、思い切り蹴ったんだ。
　