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中には佐野君が乱雑に押し込んでくるまっている制服。
俺の胸の高鳴りが、更に大きくなって、まるで心臓が口から飛び出るんじゃないのかって思うほどだ。
俺以外には誰もいない更衣室。
窓もブラインドが付いていて外から中は見えない。
ごめん、佐野君…
こんな俺を、許してくれ…
罪悪感が頭をよぎるが、俺は、結局、自分の欲望には勝てなかった。
あーあ…。
俺は、何て卑しい人間なんだろうか。
気付けばその手には、ロッカーから引き出した佐野君の制服がしっかりと握られていた。
そして、それを顔に近づけて、俺は…
制服から漂う佐野君の匂いを、この胸いっぱいに吸い込んでいた。
俺は、越えてはいけない線を越えてしまったんだ。
もう、後には戻れない。
もう駄目だ…
もう、抑えきれない…
我慢、できない…
制服をもっと近づけて、顔をうずめて、更に彼の香りを自分の体中に巡らせていく。
それだけで、思考が停止して、全身麻痺したように痺れるのを感じる。
胸の苦しみも紛れるほど、幸福感が包み込むのと同時に、体中が痛いぐらい熱をもって熱くなる。
俺の興奮は冷めやらぬまま、息が上がり、体が一気に汗ばんでいく。
周りの空気はこんなにも冷え切っているっていうのに。
「佐野君…」
こんなところを見られたら、俺の人生も終わりだな。
けれど、俺はこんなに佐野君のことが好きなんだよ…
大好きなんだよ…
ある意味開き直りにも似た感情と共に、俺は更にその制服に顔をうずめていった。
柔軟剤の甘い匂いと、少し汗の混じった匂いが俺の体を欲 情させる。
そして、どんどん膨らんで、熱くて窮屈になったスラックスを緩めるために、それを支えるベルトに手をかけた。
でもその時、パシャッっという、カメラのシャッター音が、そんな俺の耳に突き刺さる。
全身の毛が逆立ち、心臓が飛び跳ねる。
言い知れぬ恐怖感で頭の中が真っ白になる中、俺はその音がした方を確認しなければならない。
そして、制服から顔を上げて、その方向を恐る恐る確認した。
そこには、スマホを構えて、その画面越しに俺を覗く塩��君が立っていた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
