溺れる偽愛 (ページ44)

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『俺さー周りからは遊んでるって思われてるんだけど、ほんとはそんなに遊んでないんだよ？』

「え？」

酔いが回ってるのかふわふわとした感じで話す彼だが、その言葉に嘘はないような気がして。

『まぁ…色んな女の子が寄ってくるのは合ってるんだけど、女遊びとか別にしてないし。とっかえひっかえしてるとか？…してねぇし』

「…」

『ほとんどの女と体の関係があるとか…全部周りが作ってる嘘なんだよね。その噂を本気にしてる奴らばっかり』

「…っ」

『Aもそうだったんでしょ？』

そんなことを言われたら何も言えなくて。

私は思わず視線を逸らした。

『別に周りの奴らが俺のことどんな風に言ってるかなんてどうでもいいんだけどさぁ。Aだけには勘違いしてほしくなくて』

「樹くん…」

『信じてもらえないかもしれないけど…俺今までそんな汚いことしてないから』

グッと残りのお酒を飲み干すと、またもやおかわりを頼む彼。

そんな衝撃の事実に、私は自分を思い切り責めた。

「ごめん…」

『んふ、いいよ謝んなくて。気にしてないから』

お互いに腹割って話せる日が来るだなんて思わなくて

少し嬉しい気持ちが芽生えるのと同時に、自分もそんな噂に流されていたことに苛立ちを感じた。

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