溺れる偽愛 (ページ30)

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A樹くん明日提出のレポートやった?

そう入れると、ものの数秒後に既読がついて返事がきた。

田中樹やったよ

A見せてもらえないかな…

田中樹いいよ。学食にいるからおいで

レポートを見せてもらう嬉しさなんかよりも、早く返事をしてくれて優しく対応されたことが嬉しかった。

荷物をすぐにまとめて学食へ向かうと明らかにオーラが違う2人組が目に入り、その中の1人が樹くん。

他の1人の男性は知らないから、話しかけるのすら緊張する。

でも…レポート受け取るだけだし

…うん…大丈夫。

そう言い聞かせて近付くと、幸いにも樹くんが私の存在に気付いてくれた。

『おっ、早いじゃん』

「うん。ごめん…お邪魔だったよね」

『全然。てか座ったら？』

「えっ…」

予想外の展開に身を固くして戸惑っていると、隣の椅子をポンポンと叩いて座るように促される。

「…でも」

『ほら早く』

見かねた樹くんが私の腕を引いて隣に座らせると、彼の友達が不思議そうに私を見てきてまぁまぁ気まずい。

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