溺れる偽愛 (ページ11)

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「だから…私と付き合ってほしいの」

『…え？…いや、、』

「あなたが女の子にモテることも、女遊びが激しいことも知ってる」

『…』

「本気で付き合ってほしいとは思ってない…。その…教えてほしいの」

『なにを…？』

「…恋愛を」

未だにキョトンとしてる彼の表情を見て、なんてことを言ってしまったんだと軽く後悔が襲う。

でも、そんなこと今更だった。

「…3ヶ月だけでいい。だから…」

『分かった。いいよ』

「えっ…」

『3ヶ月だけでいいんだろ？』

「…うん」

『俺も色んな女が寄ってきてめんどくさかったし、そんなことでチャラになるんなら全然いいよ』

まさか本当に了承してくれるだなんて思っていなくて、私自身が開いた口が塞がらない。

「…ほんとに…いいの？」

『うん。ただし3ヶ月だけな』

「…分かってる」

3ヶ月だけ。

そう決めたのは私だけど、相手に強く期間限定だと復唱されるときっとこの人は私と付き合うなんて嫌なんだろうな…と少し傷が付く。

私だって…好きでこんなことを口走ったわけではない。

彼氏がいないと焦った挙句、わざわざ女の子に慣れてる男の人に恋愛を教えてもらうなんて。

でもそれは私にとっていい経験なんじゃないかと、なんとなく思っただけ。

別に田中樹のことを恋愛対象に見てるわけではないけど…。

『じゃあ今日からそういう関係でいい？』

「あ…うん」

『分かった』

変な空気に包まれた室内。

私は朝からなにをしでかしているんだろう。

『教えてほしいってことは、今まで彼氏いたことないの？』

「…うん」

『マジで？可愛い顔してんのに』

「っ…」

この瞬間にわかった。

こいつがモテる理由が。

顔もかっこいいというのはあると思うけど、口が上手いんだ。

危ない、、、

思わずキュンとしそうになった心臓を必死に抑えた。

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