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父がわたしの姿を見て、
「仕事見つかったんだな」と妙に優しい声で語りかけた。
今更…なんて思って素っ気なく、うん、とだけ答えたら益々伶菜さんはわたしを罵倒した。
そして…
すべての矛先は樹さんにいく。
「樹が、私を見捨てた…全部、全部樹のせいじゃない!
私のことずっと守ってやるって言ったのに」
…伶菜さんのその思いは妹としたら異常だ。
二人は母親は同じでも父親は違う。
ましてやいきなり兄妹の仲になった。
まさか…?
そう思うと怖くてブルっと身震いをした。
隣の樹さんは顔を苦しそうに歪めて俯いていた。
「何とか言いなさいよ!」
伶菜さんのいつも身につけている黒の革のブレスレットが投げつけられた。
ゴトッ、って鈍い音が床に鳴り響いた。
ーーーーーその音はパンドラの箱が開けられてしまった音だった。
『伶菜…ごめん」』
「…」
『ごめん。俺、Aが好きなんだ…
守ってやるっての嘘じゃない、お前をあんなふうに苦しめたのは俺だから…
でも今は…Aを守ってやりたいって思う』
「……好きになった?笑わせないでよ…
この女がどれだけ私を苦しめたか知ってるくせに」
『…』
わたしが伶菜さんを苦しめたってなに。
伶菜さんはヨタヨタと立ちあがって樹さんの前にゆっくり歩いて向かってきた。
バチンッ!
鈍くて乾いた音。
樹さんが叩かれた頬をそっと抑えた。
そしてその憎しみの矛先は今度はわたしに向き始め、
キッと睨みながら伶菜さんは涙を流した。
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お次、移行になります。
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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Clara | 作者ホームページ:https://instabio.cc/30822109WE21W
作成日時:2021年9月3日 20時