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「…厄介だろ？伶菜」
「…」
「この街の誰もが、樹以外は厄介だって思ってる」
「…」
「聞いたよ…つきあったんだって？」
「…うん」
「アイツは…あんまりオススメしねぇけどな」
「みんなそれ言うね」
「…女なんてただの欲の解消としか思ってないような奴だもん」
「…」
「まぁでも…Aちゃんは違うんだろうな。…あんな目してる樹見たことねぇな」
「…」
二人で話しているとバタンッ！と大きな音を立てて、扉が開いた。
『A！』
血相を変えた樹さんが飛び込んできた。
『おい、大丈夫か？』
声が思うように出なくてコクと頷いた。
『北斗たちから聞いた…ごめん、伶菜が…』
「…」
『あいつらが家まで送ってくれたから…。
俺らも帰ろう』
「おい、先に説明しろよ」
大我くんから発せられたとは思えないほどの低い声がした。
「大我くん…」
「いきなり店来て酒ぶっかけて人殴って暴れて」
『きょもには関係ねぇよ』
「この有様で？関係ねぇって？」
「…」
「仮にもここは俺の母親の店なんだけど？」
『それは、』
「いい加減あの夏、何が起こったか教えろよ」
『……分かった。でも今は勘弁して。A連れて帰りたい』
「…分かった。
…じゃあねAちゃん」
「ありがとう大我くん…。
ジャケットちゃんとクリーニング出すから」
こんな騒動があって隠れたいのに帰るにはホールを通らないといけない。
俯きながら歩いていると、頭からパサッと白いもので覆われた。
樹さんの羽織っていたカーディガンだ。
『ちょっと我慢して』
そのまま樹さんの手がわたしの頭を抱くように回され、見えてなくても分かる視線の大渋滞の中外に出た。
わたしの顔を隠してくれたんだ。
その優しさを疑えるわけない…。
こんな人が、どうして誰も本気で愛せない、なんて皆言えるんだろう。
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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (
レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています！ (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Clara
| 作者ホームページ：https://instabio.cc/30822109WE21W
作成日時：2021年9月3日 20時
