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途端に苦しそうな目をした樹さんが気になった。
何を言おうとしてたんだろう。
その後の言葉を知りたいのに、何だかそこに踏み込んではいけない気がした。
「お父さんのこと嫌いなのは…その、伶菜さんのお父さんだから?」
『それもあるけど』
「だよね。お父さんが、あの人が浮気したから…ごめんね」
『別にお前のせいじゃねぇだろ』
『お母さんは?どんな人だった?』
「…優しくて強かった。わたしとお母さんが置いてかれたときもわたしのことを守ってくれて。
大丈夫だから、お母さんはずっといるからねって…」
「当時はすごくショックで苦しかったけどお母さんとかおばあちゃんがいたから…」
「だからお母さんが亡くなったとき、おばあちゃんがいなかったらわたしもどうなってたか分かんない。ずっと涙が止まらなくておばあちゃんがわたしを支えてくれた。
周りの視線にも耐えられなくて外に出られなくて。
わたしの親友たちが会いに来てくれても誰にも会いたくなくて。
家族を失ったわたしをおばあちゃんは一人で育ててくれたの。
そのおばあちゃんも亡くなって何もかも失っちゃった…家も車も」
『…今は、俺いんだろ?』
そっと視線を上げると樹さんがわたしをじっと見つめて、優しい瞳でそう言った。
その優しすぎる目を見ていると湧いてきた水分で歪んだ。
気づいたときにはテーブルの上に置かれた自分の手にぽろりと涙が落ちていた。
うそ…人前で泣いたの初めてだ…。
あのバス停で一人で泣いているところをすでに見られてはいたけど、こうして相手が目の前にいるのに涙を流すのは初めてだった。
急いで下を向いて涙を手で擦るように拭ったらいつしかわたしより体温の高い温度で包まれる。
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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Clara | 作者ホームページ:https://instabio.cc/30822109WE21W
作成日時:2021年9月3日 20時