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「…」
「…」
「俺普通に仕事帰りで忘れ物ついでに取りにきて、さぁ帰ろうとしたら、佇んでる女の人がいるな、って思って。これまさか…なんてヒヤってした」
「ごめん、驚かせて」
「車が見えて…それがAちゃんが乗ってたものだったから…」
「…別に変なこと考えてないよ」
「…」
「ただ泣きたくなって」
「…なんかあったんだろ？樹と」
「…」
「あれだけアイツはやめた方がいいって言ったのに」
「馬鹿だよね、本当」
乾いた笑みが漏れた。
その笑みは自分自身を嘲るものだった。
「…今日はどうすんの？家帰る？」
「車に泊まる」
「そんなの体しんどいでしょ？寝れないんだったらちょっと付き合ってよ」
「でも、」
「俺も今ムシャクシャしてんの」
「なんかあったの？」
「彼女と喧嘩」
「話聞く？」
「…いい。しんどい事考えたくない」
「分かった」
「そうだ、Aちゃんの育った町の話聞かせてよ」
大我くんにわたしの育った町、千紘や、慎太郎の話をすると本当に楽しく聞いてくれて、心が少しだけだけど晴れた。
大我くんと慎太郎もしかしたら気が合うんじゃないかな、なんて。
話し込みながら2人ともカウンターでいつしか眠っていた。
「大我くん起きて」
「ん、うわっ、明るい」
「ごめんね、朝になっちゃった」
大きなあくびしてる。疲れてないかな。大丈夫かな。
「じゃあ俺仕事あるし、一旦家戻るわ」
「うん、本当にごめんね。それから…ありがとう」
せめてものお礼をたくさん伝えたくて、一緒に店を出て見送りながら話した。
空はすっかりと明るくなり、太陽が海を煌びやかに照らしている。
「いや、俺も付き合ってもらったから」
「仕事がんばってね。彼女と仲直りできるといいね」
「…どうだろうな」
「今日は…樹んとこ帰んの？」
「うーん、多分…でもまたその時考える」
「もし泊まる場所ないなら菜摘に連絡して。あいつならウチに泊まれって絶対言うから」
「うん分かった、じゃあね。行ってらっしゃい」
「行ってきまーす」
笑顔でバイバイって手を振れた。
涙は乾いたけど1人になると、まだわたしの心は砕け散ったままだということを実感した。
「さて、戻らないと」
制服を取りに戻るためあの家に車を走らせた。
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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (
レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています！ (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Clara
| 作者ホームページ：https://instabio.cc/30822109WE21W
作成日時：2021年9月3日 20時
