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「10時半です」
『まだ朝じゃん』
朝だけど普通はもう起きてるよ(笑)
『起きんの?』
「…そうしようかなって」
樹さんがじーっと寝たままわたしを見る。
何かを訴えかけるみたいに、じーっと。
わたし達のお得意の濃厚な睨めっこ。
「…あの?」
『…まだなんだけど?』
「へ?」
なにがですか?
そう聞こうとする前に樹さんは自分の唇を指でポンポン指した。
「え…」
『…キス。待ってんだけど?』
あわわ、となってしまった。
なにこれ…
甘くて甘くて、とろとろに甘い。
そっと起こした体をまだベッドで横になっている樹さんに覆うように近づけて、迷った挙句…触れるだけのキスを落とした。
キスなんて、体の交わりなんて昨日初めてしたのに、自分からするなんてハードルが高い。
ガクガクに緊張しちゃう。
わたしが触れるだけのキスをしたら、樹さんはフッと笑って、
そのままわたしの後頭部をグッと抑えてくるっとベッドの上で回転し、また昨日のように組み敷かれた。
キスがどんどん深くなっていく…。
朝にするようなキスじゃないって、すぐに分かる。
甘すぎて。ぐるぐる合わさって溶かされていく。
胸がドキドキ言いすぎて死にそうで。
耳に直接鳴り響く心臓の音が、樹さんに侵食されるたびに大きくなっていった。
『…俺まじでこんなに好きなるなんておかしくなりそ』
揺らしながら聞こえたその言葉は嘘じゃなかった。
好きな男にこんなことを言われたら女はどうやって抗えばいいのだろう?
答えは…何もできない。
心も体も喰われるだけ。お好きなままに。
わたしは昨晩と同じようにその背中に必死にしがみついた。
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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Clara | 作者ホームページ:https://instabio.cc/30822109WE21W
作成日時:2021年9月3日 20時