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息ができない、苦しいほどに。
今まで感じたことのない幸せがわたしを攫う。
こんなにも幸せを感じたなら、いっそこと人魚姫みたいに泡になって消えてしまってもいいから、今このときだけは樹さんを独り占めしたい。


唇を離すことなく、わたしをエスコートしてゆっくりとベッドの上に寝かせた。


ジャラ、と音を立てたゴールドの冷たいネックレスたちがわたしの喉に当たる。
それに反比例して上からわたしを組み敷く体は…熱かった。
樹さんを熱くさせているのが自分だなんて信じられない。



わたしの唇が、舌が、樹さんに侵食されていく。
もうどうにでもなったらいい。
好きなように形を変えてしまったらいい。

静寂の中、わたしたちの奏でるリップ音が綺麗に耳に響く。



RRR。


わたしのポケットに入ってる携帯の着信が鳴った。
そっと我に返ったかのように唇が離れた。


「っ……、」


くっきりと見える樹さんの目はまだ欲を纏っていた。
こんなにオスの顔をしていたなんて…
照れる暇もなかったから今になって急に照れてしまう。


『出ねぇの?』


そう言われてすぐに画面を確認するとオーナーからだった。
ベッドから起き上がり体勢を整えて電話に出ると、


「もしもし」
「おつかれ」
「お疲れ様です」
「もう大丈夫?落ち着いた?」
「はい…すみませんでした」
「あなたが悪いわけじゃないんだからいいのよ」
「…それでもすみませんでした」
「明日は休みにしたから」
「え?」
「明日一日ゆっくりしなさい」
「…いいんですか?」
「ええ。明後日またよろしくね」
「分かりました、ありがとうございます」
「じゃあね、おやすみ」
「失礼します」


電話を切った瞬間スマホをスッと奪われた。
樹さんの手によって。

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くらら(プロフ) - uskさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。もう一波乱ある予定ですがエンドロールまでお楽しみいただければ幸いです。 (2021年9月15日 21時) (レス) id: f815a3c4d3 (このIDを非表示/違反報告)
usk(プロフ) - 映画を見ているみたいなロマンチックなお話だな、と思っています! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 9866245c6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Clara | 作者ホームページ:https://instabio.cc/30822109WE21W  
作成日時:2021年9月3日 20時

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