先輩の事、嫌いです。 (ページ30)

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慎太郎side

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先生「今日の美術の授業は～、」

先生の声と共に黒板に書かれた文字に心の中で絶句する。

【似顔絵】

それも、隣の席の子の似顔絵。

教室からは「え～！」「やだー！」などの多数のクレームが殺到している。

チラ、と隣のAを見てみると、案の定眉間にシワが寄っている。

先生「クレームはいくらでも受け付けるけど、やらない奴は単位無くなるからな～！」

その言葉にみんなは黙って絵の準備をする。

…俺は別にいいけど、Aちゃん気まずそ～。笑

それに俺絵心なんて皆無だし、絶対上手く書けねえよ。

とりあえず、色鉛筆でちゃちゃっと書いて終わらせるか。

2人1組でお互いに向き合う。

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初めて正面から見たAの顔は、

シンプルに可愛い、と思った。

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慎太郎「…じゃあ、描いてくね」

『うん、、』

いくら相手の似顔絵を描くとはいえ、
自分の顔を何回も見られるのは恥ずかしい。

まあ、それはAちゃんも同じなんだろうけど。

俺はAちゃんが俺の顔を見てない時を狙ってAちゃんの顔を見て描いていた。

Aちゃんがこっちを向きそうな時慌てて画用紙に目を向ける。

そろそろいいかな、と思いつつ、
顔を上げると

Aちゃんと目が合った。

あ、やべ。目合っちった。

すぐ逸らして描けばいいものの、目が離せない。

Aちゃんが逸らしてくれるのを待っているけど、Aちゃんも俺を見て逸らさない。

傍から見ると俺らは見つめあってる図。

急に恥ずかしくなって、思わず

変顔をしてしまった。

その瞬間、Aちゃんの大きな目が更に大きく開き、驚いた顔をする。

やっべえ、相手はAちゃんなのに、
いつも友達と変顔対決してる時の顔出しちまった。

終わった、完璧に変なやつだと思われた。

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『…ふふ、あははははっ』

慎太郎「…え？」

前を見ると、

あの、きょもとかいう男に見せてた笑顔、

いやあの時の笑顔よりもっと可愛い顔で俺に向けて笑ってたんだ。

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