僕たちの帰る場所3 (ページ46)

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真実と現実とページ46

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翌日、俺たちは早速保健所の職員を迎えていた。
涼太とふっかが中心となって職員とやりとりしながら、検査すべき食材を仕分けていく。

食材は次々と無機質なケースに入れられ運び出される。俺たちは手持ち無沙汰でその様子を眺めていたけれど、作業は案外すぐに終わり、職員たちもじきにいなくなってしまった。
そして最後には、あまりに殺風景な厨房だけが残ったのだった。

dt「なんか、心にポッカリ穴が開いた気分」

流石の涼太も、声色こそ落ち着いているものの珍しく弱音を吐いている。
誰よりも料理を愛している涼太。こんなことになるなんて遣る瀬無いよな…

fk「これから俺たちどうなるんだろうな」
「絶対すぐに元通りになるって。ほら、阿部ちゃんだって、うちが原因の可能性は低いって言ってたじゃん」
ab「うん、それはそうなんだけど、やっぱりこの風景を見ちゃうと心配で…」

みんな何とか明るく振る舞おうとするものの、やはりこの重苦しい空気を払拭しきれないでいる。

そして、しばらく沈黙が続いた後、涼太がぽつりとこう呟いた。

dt「もしうちが原因ってことになったらさ、俺、この店抜けるから」

その言葉に、俺は心の中で小さく舌打ちする。
「なんでそういう話になるわけ」
思わず呆れたような物言いになる。でも、わかってるんだ、あいつの言いたいことは。

dt「食中毒の出た店になんて、そのままだったら誰も来たがらない。お客さんに戻ってきてもらうなんて夢のまた夢だ。
だったら、全部俺の責任ってことにして、もうそいつにはやめてもらったから大丈夫だって、事実として示した方がいい」

やっぱりな。
コストダウンの話が出た時、あれだけ抱え込むな、責任負おうとするなって言ったのに、全然変わってない。何でいつもいつもそういう思考回路になるかなあ、こいつは。

そんな形で居なくなるなんて、俺が絶対許してやらないんだから。