僕たちの帰る場所3 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:317,149 hit

2人だけが知っているページ3

iw side

ru「お疲れ様でーす！」

バレンタインの翌日、店に入ってきたラウールを見て、俺は悟った。
例の子から無事にチョコが貰えたらしい。ということは、すでに両思いのはず。
お互いどこまで気づいているんだか…

「ラウ、よかったな」
ru「もう、照くんエスパーなの？そこまで見破られるともはや怖いよ」

「もう告白されたの？」
ru「いや、まだきちんとは。というか、そういうのは俺からしたいし」

照れつつも前のように否定しないところを見ると、相当嬉しいらしい。
このことは、今のところラウールと俺だけの秘密だけれど、この分だとバレるのも時間の問題だろう。

俺の学生時代は、中学でこの街を去ったのを最後にバレンタインとは無縁の生活だったから、青春真っ盛りのラウールがちょっと羨ましくもある。

だからこそ、この店で今回行われたイベントには相当気合を入れて臨んだはずだったんだけれど…

振り返ると、敵は翔太か佐久間か、はたまた舘さまかなんて構えていたのに、阿部の予想外の追い上げに苦しみ、終わってみれば優勝はまさかのふっか。
まさに怒涛の展開だった。

勝てなかったのはもちろん悔しい。でも、ふっかに負けたのなら納得だし、このイベント自体も楽しかったから、一旦は良しとすることにした。

それに、大量に集まったチョコをみんなで食べる楽しみもまだ残っている。チョコ好きの俺としては嬉しい限りだ。

でも、一つ気がかりもある。
現物確認の時にふっかがよけたあの箱だ。あれを見たとき、ふっかの顔がちょっと強張ったように見えて、なんとなく気になっていたんだ。