僕たちの帰る場所3 (ページ11)

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ab side

その頃俺は、手がかりを求めてスタッフやお客さんにさりげなく話を聞くも、思ったような成果を得られずにいた。
やはり、ふっか本人が隠している限り厳しいか…

その時、手詰まりとなって落ち込む俺の肩を、誰かが遠慮がちに叩いた。

ru「あのさ、もしかしたら関係ないかもしれないけど…」

「ん？ラウどした？」

ru「僕、ふっかさんのことを辰哉くんって呼ぶお客さんを知ってる。何かプレゼントしたのかな、『辰哉くん、つけてくれるといいな』って呟いてたことがあって」

…なんだその情報は。
彼女か親戚でもない限り、超有力なストーカー候補じゃないか。

「それ、どんな人？！」

ru「ほら、最近よく来る40歳くらいのおじさんで、いつもチーズケーキ頼む人いるじゃない？その人」

ああ、あの人か。確かに最近よく見る…って、え、相手はおじさん…なのか…？

「ありがと。めちゃくちゃ参考になった」

俺がそういうと、ラウールははにかんだように笑った。

ru「ふっかさん、大丈夫なの？僕も出来ることあったら協力するからね」

そんなことまで言えるなんて、彼は本当にいい子だなあ…
なんて呑気なことを考えている場合ではないのだけれど、まあ、犯人の目星はついたのだから、後は彼を注視して、尻尾を出すのを待つだけだ。
少なくとも数日中には…

prrrr...

その時、ふっかと一緒に帰ったはずの照から着信があった。

iw「おい阿部、まずいぞ」
電話の向こうの声は相当焦っている。

iw「ふっかが急に、もういい加減泊まりに来るのはやめろって。迷惑だって。あいつがそんなこと言うなんて、なんか嫌な予感がする」

「ってことは今ふっか一人か？！それ危険だぞ！
ふっかが隠してたの、多分ストーカー被害なんだ！！」

iw「はああ？お前そういうことは早く言え！！とにかく全員で探すぞ！！」

照の言うまでもなく、そうするしかない。

「みんな頼む、ふっか探して。説明は後で本人がするから！！」
そういうが早いか、俺は店を飛び出した。