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ab side
fk「店長の深澤です。この度はご不快な思いをさせてしまったようで、申し訳ありませんでした」
神妙な面持ちで謝罪の言葉を口にするふっか。
クレームがあった時には、こちらに非があるかどうかに関わらず、まず謝罪から入るのがいいと何かで読んだことがある。
ふっかもそういうことを勉強したのだろうか。それとも、自然にそんな振る舞いが身についているのだろうか。
しかし、謝罪も虚しく、女性は全く態度を崩さないばかりか、この店…特に料理担当の舘さまに対する暴言も憚らない。
(落ち着け俺、冷静に冷静に…)
自分に言い聞かせるけれど、そろそろ聞いているのも辛くなってきた。
翔太がオフの日で良かったと心から思う。舘さまがここまで言われて、あいつが我慢出来るわけがない。最悪、なりふり構わず殴りかかっていたかもしれないレベルだ。
そんなことを考えながら、一方的にまくし立てる女性の話を聞くこと十数分。ようやくひと段落ついたところで、俺は本題を切り出す。
「おっしゃることはわかりました。今後の対応のこともございますので、この店にいらした時のことを詳しく確認させていただけますでしょうか」
『何よ』
「先ほどのお話ですと、ご来店頂いたのは先週の日曜日かと思いますが、お間違いありませんか?」
『ええ、そうよ』
「では、その時召し上がったお料理は覚えていらっしゃいますか?」
『覚えてるわ。ええと…エビのサラダにキノコのアヒージョ、マスタードソースのチキンにトマトリゾット。飲み物はボトルワインを1本』
どれも人気メニューだな…
考えたくないけれど、もしこれらの料理が原因だとすると、これから他にも被害を訴えるお客さまが出てくるかもしれない。
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年2月22日 11時