僕たちの帰る場所3 (ページ31)

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似たもの夫婦ページ31

fk side

dt「だから、この前はたまたま材料が余ったからであって」
kj「えー、じゃあもう出さへんの？」
mg「なんで？」

何やら揉めている声がするので近づいてみると、珍しく舘さまが康二とめめにやり込められていた。

「2人ともどした？」
kj「せや、ふっかさんからも言うてよ」
「いや、だからなんの話？」

状況が掴めていない俺に、舘さまが説明してくれる。

dt「この前、康二と目黒にもラウールの話したんだよ。それで、余ってたプレッツェルも試しに食べてもらったわけ。
そしたらハマっちゃったらしくて、メニュー化しろってもう煩いったらありゃしない…」

「まあそれだけ美味いってことだろ」
dt「でも、数が出ないとレギュラーにするのは厳しいんだって」

「甘くないお菓子ってそんなに需要ないの？」
dt「カフェでお茶するってなるとどうしても、ケーキやパフェに需要偏るからね」

mg「だったら俺がいくらでも食うから」
dt「めめ夜しか来ないくせに適当なこと言うなよ？」
mg「チッ、バレたか」

いくらプレッツェルが美味しかったとはいえ、店の経営を考えれば舘さまの方が正論のはずだった。しかしそこで、思わぬ救世主が現れたのだ。

nb「俺もまた食べたいなあ」
dt「翔太はいっつも食べてるだろ」

ああ、舘さまそれは失言だよ。そんなこと言ったら…

kj「翔太くんばっかりずるいー」
mg「俺らも食べたいー」

途端に息を吹き返す2人。うん、そりゃそうなるよね。しまったという顔をする舘さまに、俺は苦笑いを返すほかない。

そして、さらなる助け舟もやってきた。

iw「むしろ夜に、酒のつまみとして出せば？」
mg「そうじゃん、絶対合うじゃん」
kj「照くんナイス」

こうなると流石の舘さまもなす術なく、プレッツェルはお試しで出してみようということになった。しかし話はそこで終わらなかった。

iw「ということで、俺がずっと言ってるタピオカも試しに…」
「さてはお前それが目的だったな」

sk「お団子…」
ab「ラムネ…」
nb「グミ…」
「いやみんな便乗しないで！あと後ろ2人、ここは駄菓子屋じゃないからね？！」

うろたえる俺に、舘さまが溜息をひとつついてこう言った。

dt「まあちょうど春の新メニュー考えるとこだったし、みんなで試作会でもして決める？」

その問いかけに、今日一番の大きな歓声が上がった。
さあ、また忙しくなりそうだ。