僕たちの帰る場所3 (ページ25)

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kj side

nb「話は聞いてる。まったく、阿部ちゃんってばプレッシャーだっての…」

俺の姿を捉えるなり、翔太くんはこう言って頭を掻いた。

「翔太くん、期待してるで！」
nb「ああっマジでそういうの辛いから！…で、今までのみんなは何て？」

そう促されて、みんなの話を一通りおさらいする。

nb「なるほどねぇ…みんな確かに一理あるな。
でもそれ聞いて、阿部ちゃんが俺に期待した意味がわかったわ」

「どういうこと？」

nb「他のみんな誰も、その職に就くことを迷ってない。
涼太と佐久間は一直線にその職を目指して専門学校や体育大に通ってるし、ふっかと照は仕事の内容とは別の理由で訳もわからずその世界に飛び込んでる。
阿部ちゃんも特殊事情はあるけど、会計士が向いてるってわかってて割とすんなり決めたみたいだし」

言われてみると、まさにその通りだ。
そして、ということは、裏を返せば…

「翔太くんは迷ったってことやんな」

nb「うん、もんのすごい迷った。
確かに俺はインテリアとかファッションとか好きだけど、それで食べていく覚悟があるかって言われると微妙でさ。他の道も結構考えたの」

「そうなんや」

nb「うん。あと、俺普通の4年制大学に通ってたのね。だから、涼太が調理師免許とったみたいに専門的な勉強が必要な職業ならそこで諦めもつくけど、インテリアコーディネーターって別にそういうのないんだよね…
だから、俺にも出来るのかなぁって考えつつ、逆に資格職じゃない故に自分の力を証明するものも何もないから不安で。ほら、いくら好きでも、生活していけるだけの稼ぎがないとアレだし」

なんと、まさに今の俺の状況と一緒だ。