検索窓
今日:7 hit、昨日:31 hit、合計:532,886 hit

. ページ49

iw side


みんなの喜ぶ顔を見るたび、改めてバーテンダーの仕事が好きだなと思う。

家族を失った絶望の中、紹介を受けたからという単純な理由で始めたこの仕事。
別にお酒に特別興味があったわけではないし、最初の頃は右も左も分からず、言われたことをやるだけで精一杯だった。
でも、知識や技術が増えていくにつれ、逆にその奥深さが見えてくるようで、気づけばのめり込んでいた。

もちろんその時は、それがこんな形で花咲くとは思っていなかったけれど。


「ふっかは、この企画の相談ついでに、もう自分のカクテルが何かは知ってる。でも作るのは今日が初めてなんだ」

実は、レシピが最後まで完成しなかったのがこのカクテルだった。リキュールの配合を何パターンも試し、それでも上手くいかなくて、グラスを変えたり温度を変えたりしてやっと完成させたんだ。


これが今日の最後の一杯。この一杯に、ありったけの感謝の気持ちと、未来への願いを込めよう。

「バイオレットギムレットです。スミレの香りのするカクテルで、カクテル言葉は、何事も楽しめるセンスの塊の自由人」

そう言ってグラスを差し出すと、さっきまでワイワイ騒いでいたみんなが、すっとこちらに注目する。

fk「この見た目、結構予想外かも。カクテル言葉からしてもっとパンチのある感じかと思ってた」

「ふっかはそういう感じじゃないと思って。自分自分ってバチバチに意識して発散してるっていうより、周りに呼応して自然に自分の色を出してる。
だから、とんでもないことしてるように見えても最終的に賭けに勝つ。それをセンスの塊の自由人と呼んだわけだ」

fk「だから照れるって。この前よりもめちゃくちゃ踏み込んだ説明にパワーアップしてるし」

「あと、このカクテルは俺からお前への願いでもある。店長って結構な重圧だろ。でも、このカクテルみたいに、気負わず自由なままでいて欲しい。自然体で、みんなに愛される店長になって欲しい。そのためなら、俺が力になるから」


俺の言葉が終わるその時、目の前のふっかの瞳から一筋、涙がこぼれた。

「え、ちょ、泣く?!」
fk「泣いてねぇし。でも、それ聞けて本当に良かった。今の言葉、大事にする」

こうして、前夜祭は無事に終わったのだった。

僕たちの帰る場所→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (283 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
954人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 雪男 ,   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月15日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。