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このところメニュー開発で家に篭りきりの俺。
翔太が気を使って時々差し入れをくれたり、買い物に付き合ってなんて口実で連れ出してくれたりしているけれど、それでも頭の片隅ではいつでも料理のことを考えている。
(翔太には申し訳ないことしてるな…)
いよいよ煮詰まって、思考までネガティブになりそうになっていた時、珍しい人から着信があった。
「もしもし照？」
iw「おう、メニュー開発、上手くいってる？」
「うーん、ラインナップは大体決まったんだけど、どうもピンとくる味にならないものが多くて」
iw「ああ、やっぱりそうなるよな。行けそうって思ってからが長いっていうか」
「本当にそれ」
同じ苦労を味わっているもの同士、分かり合えるのが嬉しい。
「しかも、ここに来て謎のリクエストもあったし」
iw「ふっかのチャーハン食べたいってやつだろ？
あいつがあれ思いついたの、俺と一緒に飯食ってる時なんだ。お洒落な料理じゃなくて、ああいうドーンって感じの料理食べたくなる時あるよなって。別にチャーハンに限らず」
「そういうことだったか。ふっかってば急にチャーハンとかいうもんだから、何かと思ったよ」
iw「あ、あと翔太からも連絡来たぞ。最近涼太がいよいよやばそうだから、照何とかしろ！って。あいつ寂しくてスネてるくせに、バッチリ気は利くのなんなんだよ」
照は翔太の口調を真似るようにそう言って笑う。
翔太がそんな風に思ってくれていたなんて。
iw「だから、ひと段落したらちゃんと翔太の好きなもの作って構ってやれよ。
あ、てか今思った。ある程度のメニュー数はきっちり開発するとしても、チャーハンの件も含めて後はお任せリクエスト制にしちゃえば？
いつも翔太とか俺らに料理作ってくれる時みたいに、その時のお客さんのリクエストで、材料とかも適当な感じの料理があるのも面白いかも」
「まじか、そんなんあり？」
iw「ありあり。舘さまの腕なら、そういう料理も安心して任せられる」
「そう言ってもらえるなんて光栄だな。ふっかやみんなにも打診してみよっか」
iw「ああ」
単純なもので、こうして褒めてもらうとパワーが戻って来たみたいだ。
「よし、あと少し、やるか」
俺は再び、キッチンに立った。
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年1月15日 1時
