自分に出来ること ページ31
sk side
着々と進む開店準備は、もちろん楽しくて仕方がない。そうなんだけど…
打ち合わせが解散になり、みんながいなくなったテーブルで、こっそりふっかを呼び止める。
「ふっか、ちょっといい？」
fk「ん？どした？」
「俺さ、楽しんでるばっかりで、今んとこ何も役立ってることなくない？」
ついに聞いてしまった。あくまで明るく冗談っぽくだけど。
だって、進行役のふっかや料理担当の舘さま、バー担当の照は明確な役割があるし、翔太は店構えを担ってて、資金計画は阿部ちゃん…って、やっぱり俺だけ何もないじゃん。
俺には何が出来るんだろう。
fk「馬鹿、そんなこと考えてたの？」
けれど、予想に反してふっかは大笑いする。
fk「そもそもお前がいなかったら始まらなかったこと、たくさんあるよ。今回の阿部ちゃんの件とか、もっと言えば中学の時のダンス部だってそうだ。
あ、さっきの翔太の宿題も、それ思い出したおかげで名案浮かんだし」
「いや、それはありがとうだけど、全部終わったことだろ」
fk「あーごめんごめん、今後のことな。実は、佐久間にはホールを任せようと思ってるんだ。まだ準備するには早いから言ってなかったけど。
佐久間ってアホだけど実は気遣いの人だし、インストラクターやってたから、お客さんに接するのも向いてるかなって思って。どう？」
「アホは余計だっての。でももちろんオッケー。俺イントラの仕事も結構気に入ってたし、そういうことなら頑張れそう」
fk「そか、よかった」
そういうと、ふっかはふわっと笑った。
そして、俺の肩をぽんと叩くと、そのまま飲んでたグラスを下げに行ってしまった。
その姿を見送りながら考える。
ふっかはいつもさりげなく、みんなのことを見てくれている。俺なんかよりずっと気遣いの人だ。
でも、今度くらいはちょっと驚かせてやろうかな。
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年1月15日 1時
