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fk side


「おーい、深澤。これちょっと〇〇社に届けてきてくんない?」

先輩にそう頼まれて書類を届けた帰り道、昼過ぎの駅前通りを足早に歩く。

うちのオフィスがあるこの辺りは、オフィス街と言うには少しざわついた街だ。サラリーマンばかりでなく若者も多いし、様々なショップや飲食店も立ち並んでいる。

ここを歩くたび、仲睦まじくアクセサリーを選んでいるカップルや、大学のサークル仲間らしき集団を横目に、やっぱり俺はつまらない大人になってしまった、なんて思う。


季節はもうすぐ夏。
広告マンらしくゆるく着こなしたスーツにも、うっすら汗がにじんでいく。

(ったく、だりーなぁ…)


後一つ交差点を渡れば目的地というところで、運悪く信号に引っかかってしまった。

いや、この偶然が俺の運命を変えたのだから、運良く、というべきだろうか。


車が目の前を勢いよく横切る中、ふと通り向かいに目をやった瞬間ーーーー

見覚えのある顔がこちらを振り向いたのだ。

切れ長の瞳に細面。
背だけはあの頃よりもうんと伸びてしまっているけれど、あれは間違いなく…


「照…」

.→←あの日の面影



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作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月15日 1時

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